申告納税
国の税金については、納税者自らが、税務署へ所得などの申告を行うことにより税額を確定させ、
この確定した税額を納税者が自ら納付する制度(国税通則法第16条)。
これに対し、行政機関の処分により税額を確定する方法を賦課課税制度といい、地方税ではこの方法が一般的である。
国税においても、戦前は賦課課税制度が採られ、税務官署が所得を算定し税額を納税者に告知していた。
しかし、1947年(昭和22年)に、税制を民主化するために所得税、法人税、相続税の三税について、
申告納税制度が採用され、その後、多くの国税に適用されるようになった。
税理士との関係 [編集]
税理士法第1条(税理士の使命) は、 「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、
申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を
図ることを使命とする。 」 と定めている
納税義務者が税額を計算し、課税庁に申告・納付することで税額が決定する制度。
所得税、法人税、相続税などの国税の分野と、法人住民税などの地方税分野で採用されている
コンプライアンスが前提となっている制度であるため、納税者が意図的に脱税を行なうことを阻止できない。
そのため、申告納税制度を補完するものとして、一部の納税者を選定して税務調査を行なう制度や、
脱税や申告の遅延に対して、追徴課税をできる「更生決定」が国税庁には認められている
租税の目的
租税が課される根拠として、大きくは次の2つの考え方がある。
1.利益説:ロックやルソーが唱えた。国家契約説の視点から、
租税は個人が受ける公共サービスに応じて支払う公共サービスの対価であるとする考え方。
後述する応益税の理論的根拠といえる。
2.能力説:ジョン・スチュアート・ミル、ワグナーが唱えた。
租税は国家公共の利益を維持するための義務であり、人々は各人の能力に応じて租税を負担し、
それによってその義務を果たすとする。「義務説」とも称される。後述する応能税の理論的根拠といえる。
・公共サービスのための資金の調達
政府は、公共サービスの提供により民間部門の働きを補完し、国民全体の福祉向上を図っており、
同時にそのための財源を調達する必要があります。
租税はその資金調達手段の一つとして位置付けられることから、
この財源調達機能は租税にとって最も直接的かつ重要なものと言えます。
・所 得 再 分 配
租税は所得税や相続税の累進構造等を通じ、歳出における社会保険給付とあいまって、
所得や資産の再分配を図る役割を果しています。
・景 気 調 整
累進所得税や法人税は、好況期にはGDPの伸び以上に税収が増加して総需要を抑制する方向に作用し、
不況期には逆に税収の伸びが鈍化して総需要を刺激する方向に作用することで、
自動的に安定化する役割(ビルトイン・スタビライザー)を果たしてい ます。
・その他の政策目的
租税は、人口政策その他各種の国家政策に利用される場合もあります。
また、一定の寄附金に対し租税を免除する等の方法によって、
慈善、学芸等の奨励を図るような文化政策も採られることがあります。
このように、租税は国家が政策を達成する上においていろいろな目的に利用される場合があります。
租税原則
アダム・スミスの4原則
公平の原則 税負担は各人の能力に比例すべきこと。言い換えれば 国家の保護の下に享受する利益に比例すべきこと。
明確の原則 租税は恣意的であってはならないこと。支払い時期、方法、金額が明白で、平易なものであること。
便宜の原則 租税は、納税者が支払うのに最も便宜なる時期と方法に よって徴収されるべきこと。
最小徴税費の原則 国庫に帰する純収入額と人民の給付する額との差はなる べく少なくすること。
ワーグナーと4大原則
財政政策上の原則
課税の十分性…財政需要を満たすのに十分な租税収入があげられること。
課税の弾力性…財政需要の変化に応じて租税収入を弾力的に操作できること
国民経済上原則
正しい税源の選択…国民経済の発展を阻害しないよう正しく税源の選択をすべきこと
正しい税種の選択…租税の種類の選択に際しては、納税者への影響や転嫁を見極め、国民経済の発展を阻害しないで、租税負担が公平に配分されるよう努力すべきこと
公正の原則
課税の普遍性…負担は普遍的に配分されるべきこと(ただし、最低生活費は免除)。特権階級の免除は廃止すべきこと。
課税の公平…負担は公平に配分されるべきこと。すなわち、各人の負担能力に応じて課税されるべきこと。負担能力は所得増加の割合以上に高まるため、累進課税をすべきこと。
なお、所得の種類等に応じ担税力の相違などからむしろ異なった取扱いをすべきであること。
税務行政上の原則
課税の明確性…課税は明確であるべきこと。恣意的課税であってはならないこと。
課税の便宜性…納税手続は便利であるべきこと。
最小徴税費への努力…徴税費が最小となるよう努力すべきこと。
マスグレイブの6条件
公平 税負担の配分は公平であるべきこと。
中立性(効率性) 租税は、効率的な市場における経済上の決定に対する干渉を最小にするよう選択されるべきこと。
政策手段としての租税政策と公平性との調整 租税税が投資促進のような他の政策目的を達成するために用いられる場合には、公平をできるだけ阻害しないようにすべきこと。
経済の安定と成長 租税構造は経済安定と成長のための財政政策を容易に実行できるものであるべきこと。
明確性 租税制度は、公正でありかつ恣意的でない執行を可能とし、また納税者にとって理解しやすいものであるべきこと。
費用最小 税務当局及び納税者の双方にとっての費用を他の目的と両立する限り、できるだけ小さくすべきこと。
租税負担の配分(利益説と能力説)
利益説は、応益原理ともいわれ、国家の供給する財・サービスによって国民各自が受ける利益に応じて租税を負担するという考え方です。これに対し、能力説は、応能原理ともいい、租税を国家公共の利益を維持するための義務とみなし、人々は各人の能力に応じて租税を負担することによってその義務を果たすという考え方です。現実の租税体系は両説に基づいて考えられていますが、国税についてみると利益説に基づいた租税は目的税(特定の経費に充てる目的をもって課される税)に限られ、実際には能力説に基づいた租税が中心になってい ます。
課税用件
課税要件(かぜいようけん)とは、納税義務の成立要件をいう。納税要件ともいう。
課税要件の主な内容は、一般的には、納税義務者、課税物件、課税物件の帰属、課税標準及び税率がある。
ある者が納税義務者にあたり、その者と課税物件との間に帰属の関係があって、課税標準を算定して税率を適用できる場合に
その者に納税義務が成立することになる。
・納税義務者
納税義務者とは、租税法律関係において租税債務を負担する者をいう。
所得税の場合、納税義務者は居住者並びに一定の場合の非居住者、内国法人及び外国法人である(所得税法第5条)。
・課税物件
課税の対象となる物、行為または事実をいう。
所得税の場合、課税物件は所得である。
・課税物件の帰属
課税物件が納税義務者に帰属する関係をいう。
所得税の場合、納税義務者が所得を得ることにより課税物件が帰属することとなる。
・課税標準
租税を賦課する目的となる課税対象をいう。具体的には、課税物件の数量や価額、品質などで表される。一般的には、課税標準に税率をかけることで税額が決定する。
居住者に対する所得税の場合、課税標準は総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額である(所得税法第22条第1項)。
・税率
税額を計算するため、課税標準に対して適用される比率のことである。